僕たちの道標



仮にもポケモンである彼らをポケモンセンターではなく病院に連れていくのには正当な理由があった。町中ですれ違ったあの男たち──思い返してもあれはアルフェイン研究所の研究員で間違いないだろう。三人をポケモンか被検体といった目でしか判断していない彼らの目を欺くには心許ないとしても時間は稼げるはず……

「トレーナーの方ですか?」

トキワシティより少し外れにある病院。

「え」

診察室の前。

「その」

言葉に迷って濁らせる。

「知り合いみたいなところです」

看護師の女性は目を丸くしていたが。

「先生からお話があります」
「分かりました」

診察室に入ると医師の男がレントゲン写真を難しい顔で見つめていた。看護師の女性が先生、と声をかけるとようやく振り向いて。

「どうぞ」

レッドは手の平で示された椅子に腰を下ろす。

「まず診察の結果ですが女の子──ゼニガメとフシギソウに問題はありませんでした」

頷いて返す。

「ただ。男の子のリザードンですが──本当に貴方のポケモンでは?」

その問いには首を横に振って。

「よかった」

医師の男は堅い表情をほんの少し緩めた。

「警察に突き出すところでしたよ」
 
 
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