僕たちの道標
ここ、マサラタウンは小さな町だがそれだけに一際目立つ大きなポケモン研究所がある。
他の研究所と方針は然程変わらないのだが主にカントー地方に生息するポケモンを中心に研究していて自分もお世話になった。そもそもこのピカチュウを旅立ちの最初のパートナーとして授けてくれたのだってこの研究所なのだ。
「レッド君!」
オーキド研究所。訪れてすぐに駆けつけてきてくれたのは幼い頃から熱心に研究員である父の手伝いをしているブルーだった。全く女の子だというのにこれがカルテを放り出して飛び付くのだからたじろぐレッドにその父親はあはは、と若い者は眩しいなとばかりに笑って。
「久しぶりじゃないか、レッド君」
「あら。ピカチュウも元気そうで何より」
「ピッカチュ」
次々と集まってくる懐かしい研究員たちとなかなか解放してくれないブルーにレッドは思わず苦笑を浮かべてしまうばかり。
「ほらほら。離してあげなさい」
「あっごめんなさい」
「博士。レッド君が戻ってきましたよ」
研究所の奥でパソコンと向き合っていた白髪の男が手を止めて振り向く。
「オーキド博士!」
「……おお!」
レッドは懐かしそうに目を細めた。
「お久しぶりです」
「元気でやっとったようじゃな!」
「ご心配をおかけしました」
「いやいや」
オーキドはレッドの目の前まで来ると頭の上にぽんと手を置いて。
「……大きくなったな、レッド!」