僕たちの道標



そうだよ。当たり前じゃないか。変な拘りでもない限り種ポケモンをメインに入れておくのは種族値等の関係で間違いなく足手纏いになる。

初めの内は最初のポケモンだからという理由で許せていたけれど例えば周りに同じポケモンを連れて旅に出たトレーナーがいたとして。問題なく進化をさせていたのだとしたら。その上で勝ち数が伸び悩んでいたら。純粋な子供だからこそ正直な感想が口を衝いて出てきてしまう。


君が。

進化をしないから。


「ちょっと」

ぎくりとして振り返るとそこにはフシギソウが腕を組んで立っていた。

「シャワーを借りてもいいかしら」
「う、うん」


そりゃそうだ。真っ当な理由で手放したというただそれだけのことじゃないか。変な期待を抱いてまた新たにパーティに加えられるのを待つより清々しい選択だったのではないだろうか。


なんて。

考えちゃダメなのに。


「案内するよ」

極力悟られないようにゼニガメには背を向けて対応した。視線が刺さるのを確かに感じながらフシギソウを案内すべく足早に。


その視線が如何に純粋で。

僅かな期待を込められていたものと知らず。
 
 
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