僕たちの道標
、何を言って──?
「うぅん」
傍らの少女らが身動ぐと青年は口を閉ざした。そっとそれぞれの頭を撫でて見つめる様子だけ見ていれば物騒な発言をしておきながら少なくとも悪い人ではないのだなと思う。
「……にいに!」
先に目を覚ましたゼニガメが声を上げた。
「あーもう引っ付くな」
青年は鬱陶しそうに言うが強く突き放さない。
「貴方も起きていたの」
緑色の髪の少女が言った。
「えっと」
「フシギソウ、よ」
小さく息を吐き出す。
「妹。話が違うじゃないの」
「あれれ」
どうやら期待されていたらしい。
「にいにはわかるよね?」
「──リザードン」
言うより先に青年が答えた。
「自己紹介をしたところで無意味だろ。今日中にはここを発つからな」
その宣言には小さく目を開いた。
今日中に──追っ手がまだこの近くにいるかもしれないのに危険だと苦言を呈する前に躊躇い口を閉ざす。彼も指摘するだろうが赤の他人である自分が余計な口を挟むべきでは。
ぐぅぎゅるるるる。
「ち、ちが」
視線を受けてリザードンが慌てる。
「あはは」
レッドは苦笑いにも似た笑みを浮かべて。
「……朝ごはん食べようか」