零の世界
……神、か。
目を細めて映像を見つめる。
僕たちはそれぞれ元あった能力を大幅に特化した力を得た。
それが創造と破壊を司る神なる力。
ようやく。辿り着いた。
……、それで?
僕たちはこれからどうするの?
この世界は穢れている。だから僕たちは理想とする幸せな世界に造り替える為に計画を働いたがそれも失敗に終わった。
僕たちの理想を。
所詮は、兄の所有物兼模造品でしかない人間どもに否定された。
「許さない」
天井に飾られた照明の一部がピシッ、とひび割れて破損した。
僕たちは神様で。この世界は、僕たちのものなのに。どうして何も知らない人間どもに否定されなければならない?
そうだ。
何も知らないくせに。
――たくさんの物語を見ておいで。
「……!」
ある男の声が頭の中に響いてざわついていた心がふと鎮まった。同時に赤黒く染まりつつあった瞳の色もいつもの紅色に色を戻して。
自分が。この力に呑まれては駄目だ。
固く瞼を閉ざして、開く。
……今やるべきことを考えよう。
僕は兄さんの弟なんだから。