零の世界
響く靴音。軋み開かれる扉。
鎮座する王の前に跪く。
……あれから。
十年の歳月が流れた。
「報告します」
金色の髪を揺らして紅の双眸を擡げる。
「本日──天空大都市レイアーゼにて特殊防衛部隊X部隊が正式に結成されました」
……嗚呼。
「くく」
遂に。
「ふははははは……っ!」
高らかに響き渡る。
概ね予想通り。時期が来るとすればきっと今日この頃だろうと読んでいた。後出しで大袈裟に話しているのではなく自分たちだってこの日の為に計画を立てて待ち侘びていたのだ。
「──人間は繰り返す」
くっくっ、と。
「彼らもその限りではないということか」
二度と同じ過ちは起こすまいと。縁を切り道を違えた筈がまた時を同じくして集うとは茶番もいいところ。はてさて仔鼠は何の事情も催眠にかけられて忘却しているものだと聞くが。
「どうしてやろうか」
「ふふっ」
双子は寄り添って嗤う。
「愉しみだね?」