零の世界
亜空間。新世界創造計画。
机の上に大きな紙を広げて線を引いて、互いに案を交わして書き込んでいく。秘密基地を見つけた子供がただの無邪気で大人たちに叛逆を企てるのとは異なる。何より遊びではないのだ。
……これは。
「そういえば」
ふと、顔を上げる。
「これって何のマーク?」
クレイジーが問いかけたのは互いの衣装の肩に刺繍された模様についてだった。
「特に意味はないが」
「ええっ」
「服を繕うのに無地では可哀想だろう。ただの思いつきにいちいち名前など付けないさ」
答えはしたものの、クレイジーはやけにそれが気にかかるようだった。
「そう……」
クレイジーは暫く黙り込んでいたが。
「じゃあこれトレードマークにしちゃおうよ! 僕たち『亜空軍』の!」
これはまた突拍子もないことで。
「、あくうぐん?」
「亜空間で作った組織だから『亜空軍』!」
幼少の頃からそう。
想像力が豊かであるのは弟の方だった。
「……いいだろう」
俺も負けていられないな。
「やった! じゃあ、制服とか!」
嬉々として提案を投げかける弟に小さく笑み。
「アイディアを出してもらえるのは大いに結構だが創るのは俺だという点をお忘れなく」
「はいはい。分かってますよ、創造神サマ?」