零の世界



指を絡めて。手を繋いで。

互いの体温を確かめるようにして擦り寄ったり耳後ろや首筋の匂いを嗅いでそれが擽ったくてくすくすと笑ったりなんかして。


……幸せな時間。


「兄さん」

寄り添いながら口を開く。

「これからどうするの?」
「……そうだな」

結局の話いつまでもこの光届かない世界に身を潜めているわけにはいかないと互いが気付いているのだ。急いで表に繰り出そうにも如何なる人間をも退ける神力が完全に回復したわけではない。かといって何もしないわけにも──

「あのさ」

意を決したかのように拳を握って見上げる。

「──ここ、拠点にしちゃおうよ!」

小さく目を開く。

「兄さんは創造神なんでしょ? だったらさ、僕たちの仲間を創っちゃえばいいんだよ!」


……創る?


「いや……確かに、俺は創造神だが……」
「不器用でもいいんだよ、使い捨てでも」

クレイジーは自らの胸に手を置く。

「──僕たちが最後の砦になればいい」
 
 
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