零の世界



円形グラフ。レーダーチャート。

淡々として文字を打ち込む都度解答を示すかのようにウィンドウに重ねて浮かび上がる。冷たく目を走らせながら文字を打つことに専念し理解を得ていく。

……この世界が。被験体から創造神に転生を経た兄さんが創り出した理想の世界だということは知っている。それだってもちろん全ての理想を叶えていたわけではないけれどそれでも幼少期にベッドの中で思い描いたゲームのキャラクター達との共存を叶えてこの世界の住民として精巧に再現することは出来た。

そのゲームのキャラクターというのも、自分たちが出会う出会わないに関わらず今も尚自然な形で増え続けている。


この世界の主を取り巻く。

物語の一部として。


不意に。手を止めて見上げた。

僕たちがこの世界の主なのだからそれ以外の生き物が目の前に映し出されているこれだけの情報を、加えてこの僕たちが知らぬ間に知り得ているはずがない。

だとすればこれは何か他の生き物がいたという話ではなくこの世界が創られたと同時に生み出された現在進行形で世界の状況によって更新、追加を続けるデータベースのようなものなのではないか。

「……!」

そしてその予測はパズルのピースが合わさるかの如く惜しくも当たってしまう。

「じゃあここは」

僕は思わず呟いた。

「デバックルームってこと……!?」
 
 
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