偽りの天使



フォックスは語り出した。

「……先日、依頼を終えたその帰り、レイアーゼ領空圏外で妙なものを見つけた」


まるでこのレイアーゼのように大地から抉り出し、空に持ち上げられたかのような小さな浮遊大陸。その大部分は黒塗りの低い建物が占めていた。

領空圏外とはいえ決して遠くはない。

敵軍基地の可能性。遠目からの判断だけでは厳しいものだと思われていたが、目を見張っていたところ見覚えのある航空機の飛来を確認。


「見間違いじゃないの?」
「自分たちが普段乗ってんのに見間違うかよ」
「だってさぁ、」
「何が言いてえんだカービィ」
「まあまあ」

頬に青筋を浮かべて今にも殴りかかりそうな雰囲気のファルコをルーティが苦笑を浮かべて宥める。ファルコが舌打ちをして留まったところで、

「とにかく」

フォックスは続けた。

「あれは亜空軍基地と見て間違いはないと思う」


――亜空軍。

率いるのは新世界の創造を企てるマスターハンド、クレイジーハンド。

ただの仲睦まじい双子の少年と見て取れるその姿形からは到底、想像もつかない、彼ら二人はそれぞれ創造と破壊を司る“神様”なのだ。

そして、フォックスとファルコが目にしたという見覚えのある航空機とは、恐らくアーウィンのことを指しているのだろう。チームの優秀なメカニックエンジニアが製作したとされるアーウィン、チームメンバー以外の所有者で当てはまるのは。

「ダークシャドウ……」
 
 
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