偽りの天使
……そういうことだったのか。
あの少年が現れてからダークシャドウの動きも一変した。徹底した攻防に付け入る隙も逃れる術もない。大体の意図も読めた。
この基地は。
僕たちを呼び寄せる為の――罠!
「おっとぉ」
激戦区を逃れるべく位置を外れたフォックスのアーウィンの前にすかさず回り込みを仕掛けたのはダークフォックスのアーウィン。
「逃げんなよ? 俺たち命令されてるんだ」
レーザー砲をチャージしながら、笑み。
「――おびき寄せられた連中をアイツに始末させろってな」
フォックスは急ブレーキをかけたアーウィンを発進させると同時、後方へ翻してレーザー砲をギリギリ躱した。下手な運転は右翼に乗せたレッドを振り落とすような結果となってしまう。安全運転でこの場を凌げって?
――無茶を言う!
「ルーティ!」
フォックスはやむを得ず無線を繋いだ。
「応援要請は」
「――さっきから何度も試してるんだけどっ」
ノイズが激しい。
「無駄ですよぉ? この空域に入ったら最後、此方に不都合な電波は通しません」
ダークファルコは答えた。
「じっくり楽しみましょう……?」