偽りの天使
……敵が見当たらない。
そういえばさっき、ダークロイがダークピットを呼び出していた。
外がどうとかって言ってたっけな。
「あのさ」
不意にロイが口を開いた。
「お前が俺を避けてたのって、俺にこう……デリカシーが無かったからか?」
何となく驚いた。気付いてたのか。
「ま、まあ」
答えるとロイは小さく息を吐き出した。
「怒らないで聞いてくれるか?」
ピットは怪訝そうな視線を返す。
「何だそんなことか、って思った」
立ち止まる。
「呆れてるとかそうじゃない。ただ、馬鹿な俺でも、これで次からは同じ間違いをしなくて済むだろ? だからそれが安心したっていうか」
彼は、良い人だ。
違う誰かの為に立ち向かえる。
向き合う。
「あっでも俺がもしまた何かやらかしたらその時は言ってくれよ?」
「いいの?」
「遠慮すんなって」
ロイはにっと笑った。
「パートナーなんだからさ」