偽りの天使



青い空。白い雲。

天気は快晴、鳥たちが翼をはためかせて気持ち良さそうに……

「……はあぁー」

今日一番大きな溜め息が洩れた。

そりゃあ羨ましいさ。この世界で果てしなく何処までも続く広大なあの青い空を、背中に広げた翼で自由に羽ばたいていけたらどんなに幸せだろうって。

そんな願いは羽根があること前提なんだけど。その条件は、満たしているんだ。


ボクの背中には、真っ白な翼が立派に生えている。

ただし――


「ピット!」
「うわああぁあっ!?」

瞼を下ろした、その直後のこと。

突然の大声に不意を突かれ、声を上げて飛び起きたが刹那。

「……あ?」

上体を支えていた手を運悪く滑らせて。

「うわああぁあっ!?」

二度目の声を上げて、真っ逆さま。

こんな状況でもボクの翼が正しく機能し、翼を大きく羽ばたかせ、空を飛べたなら回避出来たんだろうけどね。


「あだぁ!」

けど、残念なことにボクは飛べない。

……飛べないんだ。
 
 
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