演劇上等!〜白雪姫編〜
「え、本当の話?」
「流石に演出でしょ」
そんな声が随所から聞こえてくるとそれまでおとなしく舞台上で小人の役を演じていたハルは顔を上げると真面目な面持ちで。
「演技なんかじゃない」
淡々と告げる。
「彼女……本当に眠ったまま目を覚まさないよ」
えええぇえええっ!?
「、マーク!」
隙を見て脇をすり抜けようとしたが阻まれてシュルクは思わず声を上げてしまう。
「緊急を要する事態なのは分かってる」
でも。マークは仮面の奥で眉を顰めながら。
「それって……君じゃなきゃ、駄目かい……?」
役を演じているというだけで彼らは他の誰より特別思い慕う仲である。マークの心情を察してシュルクは思わず言葉を詰まらせた。随所では、
「ここでようやくパックマンの出番ってワケ」
「頼もしい限りだな」
「今の止める場面なんですけど」
といった声から、
「誰でもいいなら僕が行こっか?」
「キスは君の十八番だからね」
「ディスってる?」
「全然」
という声まで忙しなく。ざわざわと。
「ここは間を取って幼馴染みやろ!」
「おい待て何故私が」
「ユウ……私を置いて行ってしまうのか……?」
「貴様が行け」
「ディープキスでもいいなら……」
「トラウマを植え付ける気かよ」