悪い子のススメ
「ルキナ的にはセーフなのかい?」
諦め半分呆れ半分に訊ねるマークに。
「悪い子を懲らしめたのですから」
ルキナは拳を握りながら。
「寧ろ良い子です!」
まともなのは、僕だけか……
「はいおまちどうさま」
「ありがとうございます!」
繁華街を外れてアーチを潜った先の小さな商店街──そこでルキナが購入したのは学生の寄り道おやつといえばお馴染みのクレープである。どうしてもここは奢りだと言って譲らないのでお言葉に甘えた三人は店主の男性が差し出したそれを順に受け取って早速口に運ぶ。
「買い食いか……」
「あはは。ちょっと悪い子だね」
呟くロックマンにマークは笑いかける。
「私は思い切って生クリームも具材も増し増しにしてもらいました!」
「ルキナ……すごく悪い子……」
こういうのでいいんだよな。
「俺はロボットだから構わないが」
ロックマンは少しずついただきながら。
「夕飯前にこれは太るんじゃないか?」
あ。
「ううっ」
ほら見たことか。
「……ロック」
「会長……とっても悪い子……」
然程意識を回していなかったのであろうぼやきに思わぬ反応を返されて困惑のロックマン。
「そ、そうか?」
「すごく」
「ただの正論だと思うんだが……」
「はぐぅっ!」
「ロックは悪い子の素質があるよ」
「う、……うん……?」