悪い子のススメ
……大丈夫だろうか。
「静かですね」
最初にルキナが話していたようにまさか喧嘩をおっ始めたりはしないだろう。そもそもそういう性分でもないし何より何故かハルまでついて行ったのが気になる。思っていたより静かだしこの路地裏を過ぎて何処かに連れて行かれたとか──
「申し訳ありませんでしたッ!」
……ん?
「威勢だけなら何とでも」
マークは疑問符を浮かべて壁から覗き込む。
「此方が求めているのは誠意なんだが」
「本当に情けないよね」
んん?
「カースト負け組の雑魚の皆さん」
なんで四つん這いになった大柄の彼の背中の上にハルが足を組んで座っているんだ。
「な、何をやっているんだい……」
ロックはロックで土下座をした取り巻き二人の内一人の頭を腕を組みながら踏み付けているし!
「ははは。これは暴力じゃないぞマーク」
ロックマンはにこやかに。
「……そこに足を乗せるのにちょうど良さそうな足場があったから足を掛けているだけだ」
「ぼくも足が疲れたから椅子に座ってるだけ」
「違うよね?」
どうしてその言い訳が通用すると思ったんだ!
「じ、自分はハル師匠の椅子です──」
「椅子は喋らないよ」
「こらこら」
どう方向性を間違えればこんな事になるのか。というよりさっきからハルのこの煽り方は巷で噂のメスガキってやつではないのか。それは果たして僕たちの目指した悪い子のイメージに沿っているのか否か──考えるのも馬鹿らしくなるような。
「今の我々は"悪い子"だからな」
ロックマンは足を退けながら。
「上には上が居ると思い知っていただけたかな」
「もう十二分にッ!」
……本当。暴力を下さなかったのだとしても他に何をすればこんなことになるんだ……?