悪い子のススメ
独裁者かな?
「はは」
マークは一連のやり取りを目に苦笑い。
「やるね」
「はい」
対するルキナはキラキラと目を輝かせながら。
「彼らこそ本当の、悪い子です……!」
それはもう。
誰がどう見ても紛うことなく。
「会長?」
ハルが視線を上げるとロックマンは人差し指をそっと唇に当てた。次いでマークとルキナにもそれぞれ目配せをして各々はそれを瞬時に理解するとタイミングを見計らうべく顔を上げる。
「こっちです!」
観客ばかりともいかなかったようで一人の女性客が男性店員の腕を引きながら現場に現れた。リドリーが顎をしゃくるとカズヤは青年を解放したが青年は不時着で腰を酷く打ち付けながら足を縺れさせながらも慌てて逃走。急いできた様子の男性店員も膝に手を付いて喘いでいたが休憩すら頂けないまま青年を追いかける羽目に。
「待ちなさいっ!」
「……?」
リドリーは怪訝そうに辺りを見回す。
「どうした」
「さっきの連中はどうした」
「絡まれていた学生のことか」
いつの間にか居なくなってしまっている。
「チッ」
リドリーは舌打ち。
「参考にしてやろうと思ったのに」
それを聞くとセフィロスは小さく笑みを零して。
「……すぐにまた会えるさ」