悪い子のススメ
まさか。
たまたま入った筐体がプリクラ機だったとは──
『ハートを作って!』
「……ハート?」
そういった若者間で流行っているポーズに当然のこと疎いロックマンは機械音声の指示に眉を寄せながら自分の手をじっと見つめる。
「こうだよ」
「、……こうか?」
「それじゃサムズアップだよ」
「ふふっ」
苦戦するロックマンにルキナはくすくす。
『次は皆で星マーク!』
「それはちょっと無茶があるんじゃないか?」
「できるよ。会長」
「こうやってピースサインを作るんだよ」
「こ、こうか……?」
カシャッ!
撮影後の落書きも無事に終えて筐体を後にする頃には入り口から入ってすぐのUFOキャッチャーの前にいたあの三人は居なくなっていた。これで帰っていてくれたのならまだいいがそうではなしに店内に残っていたとしたら鉢合わせしてしまう可能性すらある──それだけは絶対に避けたい。
「今の内に」
入り口に向かおうとするマークだったが。
「ぐえっ」
「次はアレをしましょう!」
……まさか一国の王女様に首後ろの襟を掴まれるものとは思わなかった。
「ちょ、る、」
引き摺る勢いで連れて行かれた先は。