悪い子のススメ
「……ん?」
視線を感じた気がする。
「どうしたんだ?」
「……いや」
怪訝そうに訊ねるクロムに対しシュルクは訝しげにしながらもゆっくりと視線を戻して。
「何でもないよ」
あ、あ、危なかった……!
「どうしたのですか?」
視線を送ってしまえば此方に気付いてしまうと見て振り返るより早く押し込むようにして飛び込んだのは垂れ幕のかかった四角い筐体の中。ルキナは不思議そうにしているがひと先ずは首の皮一枚繋がったなとマークはひと息。ロックマンも流石に恋人であるパックマンにこの姿を見られたくはなかったらしく安堵の表情を浮かべている。
「ぼくは見つかっても平気だけど」
「パックマンとシュルクに関しては此方の私情でしかないが他一名がな……」
ロックマンは垂れ幕を少し捲って溜め息。
「父親だからね」
「どうでもいいけど同級生なのに父親なの?」
「その件に関してはノーコメントだ」
触れてはいけない。
「どうしようか」
「彼らが移動するまで動けないな……」
『背景を選んでね!』
ん?
「る、ルキナ?」
「はい?」
振り返った彼女が画面操作の手を止める。
「何をして……」
「あ、もう始まるみたいです!」
『笑って笑って!』
機械音声が笑顔を促してくる。
『──はい、チーズ!』