悪い子のススメ
この学園には。
最強の生徒会が存在する。
「……大したものだな」
校長室。厚みのある椅子に腰掛けたマスターとデスクを挟んで向かい合うのは生徒会長のロックマンだった。マスターが手にしている紙には彼の率いる生徒会の実績が今月もまだ折り返しだというのに十件以上も──この学園の秩序と平和を守るべくして細部まで目を光らせる彼ら生徒会の活躍には毎度毎度驚かされる。
「えぐ……」
これには流石のクレイジーもこの表情。
「この学園の未来は安泰だな」
「お褒めに預かり光栄です」
にっこり笑うロックマンにマスターも笑顔を返したが実際のところは腹の探り合いのようなものである。それが分かっているからこそクレイジーは呆れたように目を細めてだんまり。
「……そうだな」
マスターは紙を置いて頬杖を付くと。
「ひとつ。言わせていただくとすれば」
薄笑みを浮かべながら。
「お前たちは真面目すぎる」
……真面目?
「この学園に貢献して貰えるのは有り難いがそれだけに野次を飛ばされる場面も少なからずあっただろう。あれは遊び盛りだからな……少しくらい生徒たちの気持ちに寄り添ってやったらどうだ」
それを聞くとロックマンは顎に人差し指の背を添えて深く考え込んでしまった。野次を飛ばされたところでそういう役回りだと気にも留めていないつもりだったが他三人はどう思っているのか。
「……検討します」
マスターはにっこりと満面の笑み。
「ああ。今後の活躍も期待しているよ」
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