触るるなかれ!
難しい問題じゃない。初見の数式だけど、公式に当て嵌めてしまえば何てことは。
けど。
「前に出て解くんですか」
「そうだが」
勘弁して!
皆からしたらちゃんとズボンを履いてるから普通に見えるかもしれないけどこっちは露出狂一歩手前なんだよ! そりゃ別に興奮を覚えてどうこうするから人前に立つのはまずいとかそんなことはないけど気持ちの問題で無理だよ!
「出来ません」
「分からないのか」
「前に出たくありません」
抵抗の姿勢。
「どうしたんだよレッドの奴」
「ありゃ多分朝から気を悪くしているね」
訝しげなロイにローナが耳打ち。
「理由を答えなさい」
シモンもシモンで引き下がらない。
「そ、」
レッドは顰めっ面になりながら答える。
「そんな気分じゃないからです」
我が儘か!
「ふむ……」
シモンがようやく視線を外した。
「カービィ」
「分かりません」
「アイク」
「寝てまーす」
その間にレッドはノートに一心不乱に解答を書き込み即座に破って隣の席のファルコに渡した。
「、は」
「ファルコ」
「……お、おう」
ファルコは怪訝そうにしながらも立ち上がるとレッドの記した数式の答えを確認してから机の上に戻して黒板の前へ。どうにかなった、けど。
先が……あまりにも長すぎる……!