非モテ男子の非日常
席に座った途端、これだ。
どすの利いた声で見下すのはリドリー。その両脇にはセフィロスとカズヤまでいるのだから白目を剥きそうになる。このクラスの中でも飛び抜けて素行の悪さが目立ち生徒会や風紀委員、果ては校長教頭からも要注意人物と監視対象にされている三人がどうして拙者に──!?
「その怯えた目。最高だなァ、オイ?」
ずいと顔を近付けてくるのだからミカゲは椅子を引く勢いで体を反射的に仰け反らせた。
「おいおい困ってるだろ」
「オレ達の前で妙な真似はさせないぜ」
止めに入ったのはリヒターとケン。
「あっずるいぞ!」
「生徒会の一員として見過ごせない」
ジュニアにハルまで。
「や、あの」
キーンコーンカーンコーン。
「席に着きなさい」
教師のベレトが教室に入ってきたことで事態は収束する。今日この瞬間チャイムにどれほどの有り難みを感じたか分からない。
「ひゅ」
一瞬の油断が命取り。背中を伝う細長い何かに思わず息を吸い込んだ結果妙な音が出た。ゆっくり振り向けば鉛筆の背を突き出した姿勢のカムイ。
「あはは」
無邪気に笑って、
「可愛いね」