御人好しレッドの不幸日和



「私をお呼びかな、レディ」

颯爽と現れて薔薇を添えるのは褐色肌の如何にもこう、現役ホスト宜しくといった雰囲気を醸し出す星組生徒。残念ながら名前は分からないのだ。

「レオン君、探してるのだけど」

するとその生徒、爽やかな雰囲気を一切崩さず。

「私では不服かい?」
「貴方に“とってこい”が出来るのならね」

そう言って、シフォンは髪の合間に埋もれて見える豹耳をちらり。

「これはこれは」

その生徒は目を丸くした。さすがだな、こういう対応だけは。

「レオンを探してるのかい?」

ひょいと後ろから顔を出してきたのは彼よりも背が低めである男子生徒。

「それなら第二理科室に行ったんじゃないっスか」

続けて、別の男子生徒が横から口を挟む。

……此処にはいないらしい。いつの間にか昼休みも十五分と無くなってしまったし今度こそ貸して貸された本を返してもらいたいところ。

「あっありがとう」

レッドは苦みを滲ませた笑みで肩を竦めた。


「……、」

小走りになって先を行く、レッドをシフォンはじっと見つめて。

「どうかしたのか?」

ようやく茶番が終わったのか。気付いたネロが声をかける。

「……そうね」

シフォンは小さく息を吐き出して。

「嫌な予感がしただけよ」
 
 
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