御人好しレッドの不幸日和
はてさて。さっきまでの勢いは何処に行ったのやら。
「やだやだやだ絶対無理!」
ローナは必死に首をブンブン。
「みっともないわね。我が儘を言うものじゃないわ」
「そうそう。元凶なら責任を取らなきゃな」
「責任ってなんだよ! 実験体か!」
嫌がる彼女の背中をぐいぐいと押しながら二人、顔を見合わせて。
「……まあ、それで済めば安いもんだよな」
「気を強く持つのよローナ」
「あんたら鬼かこのひとでなしー!」
その光景にレッドは苦笑いを浮かべつつ、プレートを見上げる。
……星組。目的の人物はこの教室にいるというのだ。
「失礼しまーす」
やり取りを眺めているだけでは話も進まない。
結局、此方の手を煩わせまいと奮闘してくれていた二人には申し訳ないが、今回はレッド自ら出向くことにした。このタイミングだけは、今じゃなくてもう少し前にどうにかしておきたかったところだけど。
「……ええっと」
他クラスの訪問に注目が浴びせられる。痛い。
「レオンさん居ますか?」
遠慮がちに。そうでなくてはナイフでも飛んできそうで。
「いないのかしら」
妹弄りに飽きたのかすぐ後ろからシフォンがひょいと顔を覗かせる。