御人好しレッドの不幸日和
ピチカのお兄さんといえば、番長として恐れられている――
「……本?」
屋上で弁当を食べていたスピカは顔を上げた。
「あれなら返しといたけど」
えっ。揃ってローナに注目するが、本人は手を首をブンブン振って否定。
「あーそいつじゃなくて」
スピカは箸で卵焼きを摘まみながら、
「ルーティに」
言って、口へと運ぶ。
「――なんで!?」
「でかい声出すんじゃねえ!」
すかさず付き添いのダークウルフが吠えたが刹那、
「るせえ黙ってろ」
頬に青筋を浮かべて。スピカの体から漆黒の雷撃が放たれる。
「ぎゃああぁあっ!」
こうして目の当たりにしてみると物凄い迫力だ。
「たまたま、読み終わった時あいつも一緒にいたからな」
普通に食べ進めている辺り、本当の意味で悪気はないのだろう。
「又貸し二号め!」
「お前含めて三号だろ」
「というよりこれはおつかいじゃないかな……」
……今日はずっとこの調子な気がする。