御人好しレッドの不幸日和
暫く廊下を歩いていると。
「あっいたいた」
目的の人物を見つけてローナは小走りで飛び出した。
「ピチカー!」
ぴくっとツインテールの髪が小さく跳ねて、少女が振り返る。
「あ、ローナ」
「この前貸した本! 返してほしいんだけど!」
後からやって来たレッドの腕を掴み、ぐいと引いて。
「出来ればこの人に!」
……あはは。
「えっ?」
ピチカはきょとんとして。
「あれ、にぃにに貸しちゃったよ?」
空気が凍りつく。
「なにいいっ!?」
ローナはずいと詰め寄って、
「なんで又貸しなんかしたのさ!」
「いやお前が言うなよ」
すかさずネロがツッコミを入れる。
「許可をくれたのはローナでしょ?」
ピチカは人差し指を顎に添えて、
「家族だからレッドのものは僕のもの。僕が許せばそれは必然的にレッドが」
「わーっ! わーっ!」
「お前は某アニメのガキ大将か」
……やれやれ。
「とりあえずピチカのお兄さんの所に行こう? ね?」