演劇上等!~シンデレラ編~
『舞踏会に行く仕度は着々と進んでいきます。後はシンデレラの衣装だけです』
「じゃあ、早速ドレスに」
「ストップ」
カービィは手を突き出して。
疑問符を浮かべて顔を見合わせる兄妹を差し置いて、カービィは舞台端で待機している男子部長ににっこりと笑いかける。
そういえば、彼はシンデレラ役を立候補した際こんなことを言っていたのだ。
――新しい物語を作ってあげる、と。
「僕、かっこいい服がいいなぁ」
「それは……う、うん。ええっと……」
やらせるしかない。ピチカの視線を受けて、男子部長は静かに頷いて返す。
「……ま、魔法少女に不可能はない!」
「大丈夫かよ……」
「もう何も怖くないのだ!」
杖を振り上げるピチカ。
「せえいっ、ティロ・フィナ」
「いやいやいや!」
間もなく舞台上に白い煙が巻かれて、暗転。このおとぎ話、どう変貌するのやら……