演劇上等!~シンデレラ編~
『むかしむかし、あるところにとても美しくて優しい娘がいました』
舞台袖から箒を手に現れたのは、ぼろぼろの衣服を纏った桃色の髪の美少女。
いや――カツラを被っているので一見すると分かりづらいが、あれはカービィである。主役のシンデレラは彼だったらしい。
『でも悲しい事に、娘のお母さんは早くに亡くなってしまいました。そこでお父さんが二度目の結婚をしたので、娘には新しいお母さんと二人のお姉さんが出来ました』
「昼ドラじゃあるまいし……」
カービィが適当に箒で舞台上を掃除していると、舞台袖から現れたのは立派なドレスを身に纏ったマルス、ロイ、アイク。
当然、講堂内にはくすくすと笑う声が。
『……ところがこの人たちは、揃いも揃って大変な意地悪だったのです』
マルスはばさっと高価な扇を広げて。
「シンデレラ! それが済んだら洗濯を」
「やだ。てか疲れたんだけど」
カービィはじとっとした視線を返す。
「断ってどうするんだよ!」
「言える勇気」
「いらないよ!」
「おい脚本冒頭から間違ってるぞー」