演劇上等!~シンデレラ編~
「なかなか決まらないですねぇ……」
そう呟くのは演劇部の女子副部長。
「メインなのになー」
階段の踊り場、演劇部の男子部長は壁に背を預け、一枚の紙を手に溜め息を吐いた。
――呪われているのではと所々で噂されつつも、何だかんだ好評だった演劇会。
今回もその期待に応えるべく、かの有名な“シンデレラ”を題材にした演劇を来週、全校生徒に披露する予定だったのだが。
「へえ。役が決まらないんだ」
「そ、」
思わず飛び退いた。
いつの間にか横から紙を覗き込んでいたのはカービィである。その反応にカービィはくすっと小さく笑みを溢して。
「……ね、その役」
カービィは男子部長との距離を詰める。
「僕にやらせてよ」
沈黙が訪れる。
「ここにサインだよねぇ」
「え、あっ」
カービィは男子部長の手から素早く紙を奪うと、さらさらとサインを書いて。
「いいから、僕に任せといてよ」
にこりと紙を差し出す。
「僕が新しい物語を作ってあげる――」
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