王子の機嫌を損ねたら
「あれ、どうしたんだい?」
お前か!
「どういうつもりだ!」
マルスの胸ぐらに掴みかかるロイ。
プール用更衣室を出てすぐの所で、笑顔で待機していたのだ。見学していたのも彼だけだし、疑うべきは彼だろう。
「おま、やっていいことと悪、ッい!?」
「驚いた。素直にその上から制服に着替えちゃうなんて……実に滑稽だよ」
ワイシャツ越しとはいえ、突起を指でつつかれればロイは反射的に飛び退いて。
「へ、へへへっ変態かお前!」
「どうだろうね」
マルスはにこりと笑って。
「僕の思惑通りに下着を穿かないまま、制服を着ちゃう君達だって充分変態だよ?」
――そう。どうやら、すま組男子全員の下着を取り上げてしまった犯人はマルス。
そして被害者のすま組男子らも、着替えないよりは、ということで下着を穿かないまま制服に着替えたわけだが……これは。
究極に恥ずかしい。