王子の機嫌を損ねたら
「ほらほら、逃げ場はありませんよ?」
「じゃ、まずは番長からな」
ダークフォックスの口振りからして、順番ですか。それだけはさすがに許すわけにはいかない。が、もがいても逃れられず。
「おう」
スピカの、手が伸びる。
「っ、や……」
どうしたものか。ルーティは慌てふためいていたが、こうなったらと一か八かの勝負に出る。瞳を潤ませ、甘えるように。
「弄っちゃ、らめえ……っ!」
次の瞬間、顔を真っ赤にしながらスピカが大きく後退、勢いがよすぎた為に壁に後頭部を強打。すかさずダークウルフが、
「番長!?」
とルーティを解放、スピカの元へ。
「らめ? ラーメン?」
「馬鹿ですねぇ。駄目って意味ですよ」
彼らがまた口々に話してる隙に、ルーティは傍観していたロイとカービィの元へ向かい、一緒になって駆け出す。