演劇上等!~ブレーメンの音楽隊編~
再びライトアップされると、舞台の背景が森になっていて。舞台端には何やら張りぼての大きな家があるが、舞台上からは中の様子が窺えないようになっている。
観客の生徒達からは見えるのだが、何故かざわつき、所々で不安げな声も。
『ブレーメンへの道のりは遠いものでした。いつしか日も暮れてしまい、動物たちはやむを得ず、森の中で休憩をする事に』
舞台袖からドンキー、リオン、パンサー、ピットが順番に現れた。ドンキーは切り株に見立てた椅子に腰を下ろして。
「後は合体を見せ付けて!」
「強奪するだけ!」
「人聞き悪いわ」
気合いを入れるように口々に拳を握るリオンとピットだが、何だか怪しい。
『その時、明かりが灯る家に気付いた動物たちは、その家に近付いてみることに』
「やれやれ。美しいお嬢さんかな」
「歌舞伎町に帰れ」
ふっと笑みを溢すパンサーを差し置いて、明かりの灯った家に近付くドンキー。窓からひょいと顔を出し、中を覗き込んで。