演劇上等!~ブレーメンの音楽隊編~
次にライトアップされた時には、舞台袖からドンキーやリオンに続き、用意されていた衣装を着ながらパンサーが現れて。
「着替えさせられちゃったよ」
「当たり前や」
『三匹が道を歩いていると、今度は同じような境遇の鶏に出会いました』
向かい側の舞台袖から現れたのは、鶏役のピットである。とはいえ、彼は鳥ではなく天使。ドンキーは疑問符を浮かべて。
「何でピットなん」
「飛べないからじゃない?」
成る程。
「どうせ飛べませんよ。鶏ですよコケコッコーですよ。同じ境遇の持ち主ですよ」
「えらい捻くれとるな」
どうやらピット、自分が飛べない鳥の役を買わされたことで、拗ねているらしい。
「空を飛びたいと思いませんか」
「飛べるのか!?」
さっと詰め寄って手を取るリオンに、ピットはぱあっと表情を明るくする。
「うむ。気持ち良いことをすれば昇天」
「あかーん!」
舞台、暗転。
「あふっ!」
「演劇クラッシャーやなお前」
『こうしてロバは鶏も連れて、ブレーメンを目指し、旅を続けるのでした』