演劇上等!~ブレーメンの音楽隊編~
舞台は一度暗転、次にライトアップされるとドンキーは舞台袖から歩いてきて。
『ロバは、ブレーメンに行って音楽隊に入ろうと考えました。その旅の途中のこと』
ぴたり、立ち止まるドンキー。
向かい側の舞台袖から現れたのはなんと犬役のリオンであった。適当にその場に段ボールを設置すると、ひょいと入って。
「……さあ!」
「何がやねん!」
輝かしい爽やかな笑みを浮かべて腕を広げるのだから、ドンキーは思わず突っ込み。
『同じような境遇の犬に出会いました』
「私を拾ってくれ……」
「頼まれたっていらん」
断るドンキーだったが、このままでは物語が進まないので結局、カンペ通りに。
「一緒にブレーメン行かへん?」
「成る程ラブホか」
「そうそう。一緒に艶めかしい音楽を奏でようや……って、何でやねん!」
一旦、舞台は暗転。
「あふっ! も、もう一回……」
「誰やこいつ配役に選んだの」
『こうしてロバは犬を連れ、ブレーメンを目指して旅を続けるのでした』