演劇上等!~ブレーメンの音楽隊編~



舞台は一度暗転、次にライトアップされるとドンキーは舞台袖から歩いてきて。

『ロバは、ブレーメンに行って音楽隊に入ろうと考えました。その旅の途中のこと』

ぴたり、立ち止まるドンキー。

向かい側の舞台袖から現れたのはなんと犬役のリオンであった。適当にその場に段ボールを設置すると、ひょいと入って。

「……さあ!」
「何がやねん!」

輝かしい爽やかな笑みを浮かべて腕を広げるのだから、ドンキーは思わず突っ込み。

『同じような境遇の犬に出会いました』

「私を拾ってくれ……」
「頼まれたっていらん」

断るドンキーだったが、このままでは物語が進まないので結局、カンペ通りに。

「一緒にブレーメン行かへん?」
「成る程ラブホか」
「そうそう。一緒に艶めかしい音楽を奏でようや……って、何でやねん!」

一旦、舞台は暗転。

「あふっ! も、もう一回……」
「誰やこいつ配役に選んだの」

『こうしてロバは犬を連れ、ブレーメンを目指して旅を続けるのでした』
 
 
4/17ページ
スキ