演劇上等!~ブレーメンの音楽隊編~




「馬の役ぅ?」

ドンキーは踊り場の壁に背中を預けて腕を組み、怪訝そうに首を傾げて。

「お願いします!」

頭を下げるのは、演劇部の男子部長と女子副部長の二人。――どうやら、今回はあの“ブレーメンの音楽隊”を題材にした演劇を来週、全校生徒に披露する予定らしい。

「ええ加減、呪われとるんとちゃうか」

本来、バスケ部である彼に頼み込むということは、部員が足りないということで。

「やけど、何で俺なん」
「えっ」

襟足を結んだ髪型が馬の尻尾に見えたからとかそんな単純な理由、口が裂けても――

「ええ度胸しとるやないかい」

筒抜け。

「お願いします!」
「流すな!」
「バナナ奢りますから!」
「ぐっ」

阿呆か! 俺がそんな子供騙し……

「十本で」
「来週やったな」

がっちりと手を組み、承諾。
 
 
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