うちの弟がクソガキすぎる
俄かには信じ難い前置きからの緊急会議。
時刻は午後七時。中央司令塔二階──会議室。
「断りゃいいものを……」
即興で作った資料の紙を眺めながらリドリーは皆が思っていても口に出さない本音を代弁。
「勝てばいいのよね?」
「簡単な話でもないよ」
顎に手を添えて思案するルフレにマークが返す。
「相手はあの破壊神だからね……察しの通り創作関連は全面的に苦手だ。ここで例えば料理での対決を臨んだところで出来レースだと罵って素直に負けを認めてくれないだろうね」
マークの意見に唸り声。
「両手がないとまともに遊べなかったり不利になるゲームなんかも文句を言われそうですよね……」
次いだブルーの意見に重ねて唸り声。
「な……何故我々が敵側の都合に合わせなきゃいけないので御座るか……?」
言いたいことは以下略(二回目)。
「クレイジーハンドが苦手じゃないもの……」
「片手で出来る……」
「隊長は苦手なものとかないの?」
「特にないな」
その点は申し分ないのだが。
「そもそも僕たちの方から勝負の内容を提示したとしてそれに素直に乗ってくれるかな……」
うーん……
「拳で語り合おう!」
「粉砕されるぞ」
拳を握るリュウに呆れ顔のケン。
「トランプゲームは?」
「駄目だろ。イカサマを疑われる」
「じゃんけん! あっち向いてホイ!」
「ふざけてるだろ」
うーん!
「ふざけてないよ真面目だよー!」
「得意分野から探してみるのは如何でしょう?」
ぷくぅっと頬を膨らませながら突っ込むコウに返すツツイの横でパルテナが提案する。
「えー?」
パックマンは気怠そうに頬杖を付きながら。
「得意分野ぁ?……チェスとか?」
あっ。
「……何?」
一同から注目を浴びたパックマンは疑問符。
「じゃあチェスでの勝負を仮定して──」
「えっ何。そんなんでよかったの?」
「あらゆる盤面での対策や対処方法を」
「ちょっとちょっと」
相手はいつ現れるか分からない。
此方の提案した勝負の方法を受け入れない可能性だって大いにある。仮に勝負まで持ち込めたところで思うようにいかない可能性も。
「試しに実践してみようか」
ロックマンは現実に引き戻される。
「大丈夫かい?」
「あ、ああ」
「誰かチェス盤は持ってる?」
「ぼくの部屋にあるぞ!」
それでも──こうなったらやるしかない。
「そもそもチェスやったことある奴いんの?」
「俺はあるぞ」
「私もあります」
「流石は王族」
「チェックメイトした際に吹き飛んだチェスの駒が壁を壊したのはいい思い出でしたね、お父様!」
「本当に大丈夫?」