キーメクスの審判
よくないことって?
そんなものは。深く考えなくても。……
「落ち着いてください」
不穏な空気を打ち破るようにリンクが言った。
「真実がどうあれ、ここで話している限りは推測の域を出ません。空回りしては無意味ですよ」
こんな形で調べ事が増えるなんて──いつの間にか元気に食堂に駆け込んできたはずの子ども達も可哀想に暗く影を落としてしまっている。こんな日にどんな高級菓子を出されたところで甘味なんて感じられないだろうな……ルーティは溜め息を吐き出すと同時に肩を落とした。
「……あらっ」
食堂の扉が開いたのは直後のことで。
「どうしたのよ」
ユウと共に入ってきたリムが重苦しい空気を感じ取って状況を訊ねるも正直な話二度も三度も繰り返す気になれずに。質問に対する回答が得られないとなるとリムはますます訝しげにしていたが横に立っていたユウは小さく息を吐き出して。
「さっさと行くぞ」
そういえば。
リムとユウに加えてリンク、ドンキー、リオンの五人はこの後白夜の森の手前に広がる高原で異常発生している魔物の討伐任務があるのだった。
「ルーティ殿」
席を立ったリオンは通りすがる直前に。
「ロックマン殿だが──」
そこで囁かれた言葉に。
ルーティは静かに小さく目を開いた。
「何言われたの」
五人が退室して食堂の扉が閉まった後で気怠そうにカービィが振り返って訊ねる。
「ルーティ?」
「……ロックマンは」
膝の上で緩く拳を握りながら。
「黒のボクサーパンツを穿いてるって……」
「碌なモン見ねえなあいつ!」
「連れ戻せ!」