頑張れ番長!




「やっべ」
「絶対に目ぇ合わすなよ」

いつもと何ら変わりのない学校。

しかし、とある男が現れた途端、廊下は静まり返った。誰もが関わるまいと端に寄り、身を寄せ合ってはひそひそと話して。

「ほぅら、番長のお通りだよぉ?」

その男の左斜め前を歩くのは、ダークフォックスである。手を広げてはその場でくるんと回り、けらけらと愉快に笑って。

「こら。あまり目立たないでください」

そんなダークフォックスを叱り付けたのは、ダークファルコだった。小さく溜め息を吐き出して、その男を振り返る。

「ですよね。……番長」

番長と呼ばれたその男は銜えていた棒付きキャンディを口から離すと、じろりと廊下の端の生徒を見遣ると瞼を閉じて。

「別に」

開いた窓から風が吹き抜ける。男の金色で繊細な髪が、静かに風に靡いた。

「どうでもいいけどな……」
 
 
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