無理なものは無理なので!
扉の向こう側の相手が事態を把握している以上無理して出たいという訳でもなかったが試しに雷を撃ってみても何故だか扉は傷一つ付かなかった……そもそも他のメンバー以上に関わりの薄い彼の言うことをすんなり聞いたのが間違いだったのかもしれない──とはいえ頼ってくれたということは決して悪い話ではないし。……でもでも、彼は確か研究部出身とか何とか聞いたし……うぅーん……
そんな具合にラディスがベッドの縁に腰を下ろして腕を組みながら眉を寄せてうんうん唸ること数分、扉の向こうに賑やかな音や声を拾えばまるで希望を見出したかのように。
「皆っ」
顔を上げて声を洩らしたが刹那。
「ラディスっ!」
扉の向こう、廊下に面した側。大袈裟に声を上げて扉に飛び付いたのはフォックスだった。
「、開かないな」
ガチャガチャと忙しない音を立ててドアノブを繰り返し捻り、押せど引けど開かないことを再確認──遅れてやってきたカービィは心配そうに眉を下げるフォックスを目に肩を竦める。
「大袈裟……マスターキーとかないの?」
「今しがた作った部屋だからな」
マスターが返すと居合わせた全員が「えっ」と声を洩らした。
「つ、作った……って……部屋を?」
「マスターは何でも屋さんなんですねぇ」
困惑するマリオに感心するヨッシー。
「いやマジ意味不明。理由は?」
「作ってみたかったから作った」
聞くだけ無駄なようだ。
「み……皆!」
ラディスが扉の向こうから呼びかける。
「本当、何やってるんですか」
「いやだってマスターが」
「──退いとき!」
言い訳を遮るように。
少し離れた所から助走を付けてきたドンキーが拳を引けば察した全員が離れたタイミングで。
殴打音──砂埃が舞い上がる。
「やったか?」
「フラグじゃない?」
翳した腕で鼻を庇いながらフォックスが聞けばすかさずカービィが突っ込みを入れた。その一方でドンキーは既に勝利というものを確信したようで口元に薄笑みを浮かべながら。
「よぉく見ときや! 俺のパワーを諸に食ろうたら並大抵の物じゃぁ耐えられへん──!」
豪語して程なくして煙が晴れる。
「あ」
無傷。
「うっそォォ!?」
「当たり前だろう」
驚愕して声を上げるドンキーにマスターはさも当然だとでもいうようにさらりと。
「条件を満たさないとその扉は開かない」
「それを早ようゆうたらんかい!」
「条件というのは?」
ドンキーを宥めながらリンクが訊ねる。
「ふむ。そうだな。……これはあくまでもそれが、正しく機能していればの話だが」
マスターは腕を組みながら。
「陰茎を挿入後、激しく擦り合わせてたんぱく質を中に放出すれば扉が──」
「待て待て待て待て待て」
止めたのはフォックスである。
「い、今……なんて……」
「ぼかしすぎたか。なら直接的に言おう」
マスターはすぅっと息を吸い込んで。
「……セッ」
「ちょっと待てえぇえええ!?」