僕らは甘やかし隊!



「わ、わわっ」

驚いたように声を上げたのはピチカだった。

「、リム……?」

背中に手を回して、ぎゅぅ、と。

「あー」

ぽつりと。

「……そっかぁ」

気の抜けたような声で呟く。

「頑張ってよかったぁ……」


いつからだろう。

……大人になったのは。


クリスマスプレゼントが貰えなくなって。

お年玉をあげる側になって。


我が儘を聞いて。叱ったり慰めたり。

子どもの頃はあれだけ背伸びしていたのにな。


「こちらこそ」

精一杯取り繕ったつもりで笑う。

「いいこになってくれてありがとう……」


自分たちの作戦は。

どうやら大成功だったようで。


「な、泣かないでよお……リムぅぅ……」

感極まったピチカは釣られて泣きながら返す。

「……よし!」

ぱっと顔を上げたのはリオンである。

「ではここでひとつ私が他三人の心の声を朗読して差し上げよう!」

これに大袈裟な反応を示したのはユウだった。ぎくりと肩を跳ねて振り返ったかと思うとその手を突き出したがそれを見たネスが咄嗟に、

「めっ!」

なんて言い付けるものだから。

「……おやおやぁ?」

ぴたりと止まってさながら猫のように威嚇するのみに留まるユウに気付いたリンクは顔を上げると意地悪な笑みを浮かべながらわざとらしく。

「まるで"子ども"ですね?」
「う、五月蝿いぞ貴様」
「はーなんや気ぃ張って損したわ」

てな具合に歪み合う彼らも結局離れようとしないのだからそれが紛れもない答えというやつで。

「せやったらせっかくやしこのままの組み合わせでペア組んでから人生ゲームせぇへん?」
「子持ちスタート!?」
「兄弟やばかたれ」
「この状況になっても通常運転ですねぇ」
「まともに付き合うな放っておけ」
「付き合わなくていいので突き合ってください!」
「ゆうと思った」
「やめなさいよ子ども達の前で」

子ども達は顔を見合わせて小さく笑う。

「じゃあサイコロ振る順番決めよーぜ!」
「よーし男なら決めたれっ!」
「ファイトよ、ピチカ!」
「女の子代表いっきまーす!」


甘えられないのなら甘やかすから。


「じゃーんけーん」


またのご利用をお待ちしておりますっ。


「ぽんっ!」


あなたの甘やかし隊より!



end.
 
 
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