僕らは甘やかし隊!
例えば──モンスターの目玉や尻尾を豪快に煮込んだモザイク必至のスープとか。もはや原型を留めていない真っ黒焦げの謎の固形物とか──あれだけの爆発音がしたのだからそういう意味での期待をしていたわけなのだが。……
「どーだっ!」
子ども達が揃いも揃って胸を張るのも頷ける。
彩り良しバランス良しといった食事がずらりと贅沢に二テーブル分。第三者の息だか唾だかを呑み込む音が聞こえてしまうのも致し方なしといった食欲をそそる芳しい香り──
どうしてこうなった。
「げ」
気配に気付いたのはリオンである。ぱっと顔を上げた先で目が合ったのは何故だかコック帽を被ってエプロン姿のカービィ──成る程これで謎が解けた。大方、コックの能力をコピーしたカービィが子ども達の手助けをしたのだろう。
であれば。
鍋から次々と料理が飛び出すのに応じて巨大な爆発音がしたのも納得がいく。……
「どうしたの?」
リムが訊ねるとリオンは首を横に振った。
「素晴らしい出来の料理だな!」
分からないからこそ。
「絶対なんかあるやろ」
「じゃー食べてみろよ」
「いただいても?」
「どーぞ召し上がれ!」
警戒するドンキーを他所にリンクがにこやかに訊ねればピチカは嬉しそうに返した。腹ぁ下したっても知らんで、とドンキーは小声でぽつり。
「だったら食うなって」
「まあまあ。下す時は一緒ですよ」
「なんも嬉しかないわっ!」
ドンキーはツッコミを返すと適当に目に付いた皿を手繰り寄せて料理を箸で口に運んだ。
「……旨いな」
「よっしゃー!」
「どうやって作ったの?」
「え、ええっと……それはぁ……」
訊ねるリムにピチカはしどろもどろ。
「案外普通に食べてますね」
「害が無ければ問題ない」
食べ進めるユウにリムもリンクも納得。
「個人的にはそれだけ早くに料理を仕上げる便利な術があるのならご教示願いたいところですが」
「細かいことは良いではないか!」
リオンはフォローするように笑顔で。
「料理が冷めてしまうぞ!」
「それもそうですね」
「ちょっと! 半端に食べないでよ意地汚い……」
「別にええやんこんだけあるんやから」
「ねね、……僕たちも一緒に食べていーい?」
「もちろんよ!」
「やった! いただきまーす!」