僕らは甘やかし隊!
……というわけで。
「よっし、全員揃ったな」
ディディーは満足げにうんうんと頷く。
「一体何が始まるのかしら」
「知らん」
「それくらい未来予知でどうにかせぇや」
「そんなくだらないことに使ってたまるか」
「駆使して逃げ回ってた癖に……」
ちなみに画面端の方で凡そ見せられない状態でひくひくと震えているのはリオンである。
「ええっと、誰からだっけ」
「ディディーだよ! 忘れたの?」
「そうだった。カンペカンペ……」
「うわお前字ぃ汚っ」
「るっせ!」
子ども達は円陣を組んで何やらコソコソ。
「今日はカラッと晴れてますねえ」
「何だっていいから早くしてくれないかしら」
「ハァッ……ハァッ……ユウの汗の匂い……っ」
「寄るな暑苦しい」
「おぅい、はよしてやー」
「わぁーったって!」
ドンキーが急かせば五人は振り返る。
「せ、」
すぅっと息を吸い込んで。
「宣誓ーッ!」
ディディーは声を張り上げる。
「僕たちっ!」
「お、俺たち子ども組は!」
言い知れぬ緊張感が伝わってきて微笑ましい。
「普段頑張ってる兄ちゃん達に!」
「日頃の感謝を込めてー!」
ふんふん。
「てつ、……徹底的に、とことん!」
最後初めの台詞をより上回る声量で。
「甘やかすことを誓いまーす!」
ドンキーは思わず吹き出した。
「なんやなんや急にどうしたん?」
「そ、そのまんまの意味だし」
ディディーは紅潮した顔を少しでも隠すべく被っていた帽子の鍔を掴んで目を逸らしながら。
「お礼みたいなもんていうか」
「健気ですねえ」
「いーじゃんたまには」
「感謝はいつもしてください」
それはそう。
「でも、甘やかすなんて」
リムはくすくすと小さく笑う。
「子どもじゃないのよ?」
「違うもん!」
ピチカは拳を握って訴えかけるように。
「子どもみたいに甘えてもいーよってこと!」
……え?
「そーいうわけだから」
五人は揃って胸を張りながら。
「俺たちが甘やかすので!」
「兄ちゃん達は今日一日甘えてよしっ!」