僕らは甘やかし隊!




それは、とある昼下がりのこと。


「はーっこんなもんやろ」

エックス邸の屋根の上で額に滲んだ汗を拭ったのはドンキーだった。ぐっと腕を伸ばせばその拍子に手に持っていた金槌を落っことしそうになり、慌てふためきながら捕まえて深く一息。

「終わりましたかー?」

下から声を掛けたのはリンクである。

「今降りるわー!」


梅雨も過ぎて夏本番といった今日この頃。

一目には分かりにくいものだが屋敷の老朽化がそこそこに進んでいたお陰で連日の大雨による雨漏りが多発──このままではいけないということでドンキーはリンクの指示を受けながら地道に、それも朝から金槌を片手に屋根の修繕を行っていたのである。

こういったものは業者に頼むのが最善なのだが夏といえば冷房による電気代も痛くなる季節──であればメンバーの誰かしらにお願いした方が費用も抑えられるということで以下略。


なぁんて。

ホンマのとこは創造神だか騒々しいんだかって神様が魔法でどうこうしてくれたらそれが一番手っ取り早かったんやけど──


「うわぁっ!?」


……?


「リンクー?」

変な声が聞こえたような。

「どないしたんやー?」

声を掛けながら梯子を下りてみれば。

「ぶぉわっ!?」

頭から虫取り網を被せられて。

「兄ちゃん、確保ーッ!」


ええぇ……?


「兄ちゃん捕まえたぞー!」
「よしっ!」

エックス邸正面、中庭。

「リンク殿にドンキー殿!」
「あなた達も捕まったのね」

何故か連行中被せられたままだった虫取り網を外されてようやく解放された先で待機していたのはなんとリムとリオンの二人だった。

「なんやなんや」
「この面子ということは」

大体のこと察しがつく。

「あれ? ユウは?」
「あいつマジで捕まんねーよ……」

訊ねるピチカにネスは肩を落とす。

「未来予知とテレポートだぜ?」
「う、うぅーん」
「集まらないと始まんないぞ?」
「分かってるって!」
「、そうだ」

すると何やら閃いたのかリュカは振り返って、

「……リオン」
「うん?」
「ユウの弱いところって知ってる……?」

おっとこれは。

「よくぞ聞いてくれた!」

それこそ水を得た魚のように。

「ユウは奥より少し手前の」
「貴様はココが好きだったな?」


ほら現れた。


「あぁっ! そうですっそこが好きですうぅっ!」
「欲しけりゃくれてやる二度とその口を開くな」
「見ちゃ駄目よ」
「もう見慣れちゃったよー?」
「見慣れたらアカンやろ」
「外なんですけどね」
「確保確保ーッ!」
 
 
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