君は死ぬより惨い夢を見たことがあるか?



「何にせよ目が覚めてよかったわよ」

リムは安心したように言う。

「ダークライの使うダークホールは普通のねむり状態とは違う。一度それで眠ってしまったら命を削り取られるんだから」

大袈裟に見えてこれがまた本当の話だというのだから何とも恐ろしい。そんなポケモンを子ども達だって遊ぶ大乱闘システムに入れておくなと物申したいところだがそんなことを言い出したらあれもこれもとキリが無くなるというのもそうだし、今までこうならなかった辺り単純に不具合の類いなんだろう──ともなれば誰かさんに余計に問い質したいところではあるのだが。

「どんな夢を見たんですか?」

そう訊ねるリンクの表情には純粋な興味本位や好奇心が見て取れた。自分はというとぼんやり夢の中で見た壁の傷を思い浮かべながら、

「……大きくなったな」
「えっ?」
「まだ夢から覚めてないんとちゃうか?」

酷い言い草だな。

「ユウは見たんやろ?」

どうやった? とドンキーが訊ねるもユウは短く息を吐いて目を背け無視を決め込んだ。

「なんやしらけるわあ」
「ははは」

苦笑いを浮かべる。

「……そうだな」


フォックス。


「……死ぬより惨い夢だったよ」


あの人の声が色濃く残る。

今日という日は。……よく眠れそうにない。



end.
 
 
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