君は死ぬより惨い夢を見たことがあるか?
その内に。真っ白な景色が暗がりに沈んで。
一線を引いて開いたら。
「フォックス!」
開口一番響いた声は。
紛れもないパートナーの声だった。
「……ファルコ……?」
次に自分が目を覚ましたのは──自室のベッドの上だった。ぎゅうぎゅうと握り潰す勢いで此方の手を握り締めるパートナーに「痛……」と力なく小さく呟けば「わっ悪い」なんて手を離されて。
「ほんまに目を覚ましよった……」
「当然、だ」
それまで自分の額に手を翳していたユウはゆっくり息を吐き出しながら手を引くと唖然とした様子のドンキーに向かって言い放つ。
「直接行って連れ戻したんだからな」
頭がぼんやりとする中で。
「覚えてる?」
リムが覗き込みながら言った。
「貴方、ダークライの攻撃を受けたのよ」
……思い出した。
今朝、今この場にいるメンバーと大乱闘をしていた自分はモンスターボールから飛び出してきたダークライの専用技ダークホールを真っ向から受けてしまって……それからのことは覚えていないが夢の内容だけはまだはっきりとしている。恐らく深い眠りに落ちた後に悪夢に囚われ抜け出せなくなっていたのだろう。
それをユウが得意の超能力を使って夢の世界に介入することで救い出してくれたというわけだ。夢の中の彼が子どもの姿だったのは此方の見ていた夢の状況に合わせて変化した結果だろうが結果として違和感に気付くことが出来たので助かった。
何度も繰り返し、繰り返し夢を見た。
……あの夢は。