君は死ぬより惨い夢を見たことがあるか?
薬にも食前と食後があることに気付いたのは食堂に辿り着いてからだった。まあでもよくある頭痛薬なんて大体が食後だろうと思い直して扉を開ければ味噌汁だの焼き魚だのといった如何にも朝食らしい食欲のそそる匂いがふわりと。
「フォックス」
椅子に腰を下ろすなり声を掛けてきたのは。
「今から食べるのか」
そうだよ、と答えればその人はそれ以上は何も語らずに有無を言わさず同じ席の椅子へ。こういうのは挨拶が先なんじゃないか、なんて思ったのも束の間言い知れない違和感を感じて。
「ユウ、」
「お待たせしました」
朝食が運ばれてきた。
「冷めない内に召し上がってくださいね」
……あれ?
「フォックスさん?」
怪訝そうに見つめるゼルダにハッと我に返った後、苦笑いを浮かべながら「ありがとう」と。見ればユウもいつの間にかヨッシーが運んできた朝食に手を付けている。いただきますくらい言ったらどうなんだと口を突いて出そうになりながらも自分は手を合わせて唱える。
「いただきます」
朝食を終えるとそれとなく頭痛が引いていた。この調子なら薬を貰わなくてもいいかなと考えながら廊下を歩いていればふと、任務のことを思い出す。そういえばファルコにアーウィンの点検をお願いしておいたのを忘れていた。何も言ってこないということは問題がないってことなんだろうけどここはダブルチェックも兼ねてさくっと任務も済ませてしまおうか──