君は死ぬより惨い夢を見たことがあるか?




ピピピ。ピピピ。

無機質なアラーム音を響かせる目覚まし時計を乱暴に叩いて小さく呻く。うっすらと目を開いたけど何だか頭が重くて体が怠い。何となくでもそれが健康第一だった自分にしては珍しい体調不良だと察して深い溜め息混じりに仰向けになりながら頭の上に腕を乗せて天井を仰いだ。


今日の任務、どうしようかな……


「はよー」

重い足取りで洗面所に赴くと出会したその人が挨拶を交わした。おはよう、と小さく言って片手を軽く挙げたが誤魔化すつもりもなかったおかげか体調不良を察した彼は訝しげに覗き込む。

「大丈夫?」
「少し頭が痛くて」
「マリオに薬貰ったら?」

そんな話を聞きながら鏡の前へ向かい蛇口を捻って出てきた水を手のひらで掬い己の顔面にお見舞いしてやれば幾らか目が覚めた。息を吐き出してゆっくりと顔を上げてみればふと鏡に映り込んだ自分と目と目が合わさる。


自分は。

こんな顔をしていたっけ……?


「フォックス?」

カービィがきょとんとして声を掛けた。

「マジで病人みたいな顔してるって」
「……ははは」

蛇口を捻って水を止める。

「薬は、ご飯を食べてからにするよ」
 
 
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