愛を込めて手作りを
言葉を売ったつもりはないがああ言えばこう言う相手だということを熟知している。はてさてどう悪態つくかはたまた嫌味を宣うのか眺めていれば存外その創造神は悩ましげに息をつきながら。
「……何でも作れるからだ」
「、は?」
思わず聞き返したが理解するのも早かった。
「なるほろねぇー」
「素敵な悩みですね」
俺も言ってみたいです、とダークファルコ。
「つまり」
スピカは口角をひくひくとさせながら。
「自分が何でも作れてしまうもんだから逆に何を作りゃいいか分からないって……?」
心より、苛立ちを込めて。けれど此方の気など知らぬ存ぜぬといった様子でマスターはさも当然であるかのようにあっさりと返す。
「そうだが?」
クッッッソむかつく!
「悩みがないのが悩みというやつですね」
ダークウルフが苦笑いを浮かべた。
「適当に渡しゃいいだろうが!」
「だから参考までに意見を聞いているんだ」
「知るか! 塵紙でも渡してやれ!」
「り、リーダーそれはちょっと」
宥められたスピカは舌打ちをする。
「クレイジー様なら喜びそうっスけどねぇ」
「そうだ! 適当に作って渡したって大好きな兄からのプレゼントってなら何でも喜ぶだろ!」
「あいつは俺のことを愛しているからな」
「どさくさ紛れにのろけんな!」
ああもう──此方がこれだけ騒いでも対する創造神様ときたらこの態度だ。悩んだことがないのが悩みとはこれまた言い得て妙ではあるが実際その通りなんだろうな羨ましいことに。
「何を作りゃいいか分からないなら今からでも街繰り出して適当に買やぁいいじゃねえか」
「それはそれで新鮮ですね」
ダークファルコは意見に賛同。
「あのな。俺を誰だと思っているんだ」
「えぇー創造神サマが物買ってバレンタインのお返し済ませんの流石にヤバすぎじゃねえ?」
プライドがお有りの様子のマスターとどちらかといえばマスター寄りの意見のダークフォックス。
「だったら一生悩んでろよ!」
「……作りましょう」
ダークウルフが拳を握る。
「俺に任せてください!」