なんてったってシスター!
流石はリーダーの妹!……と思っていたのに。
「んやぁああぁあ!?」
ダークシャドウ基地の廊下。
「ピチカちゃん!」
逃げるピチカを追うのは──亜空軍のシェリーである。普段はカブトムシのような鎧を纏っているが攻撃を加えると鎧が剥がれ青虫に手足の生えたような珍妙な本体が姿を現す。 今回彼女を追い回しているのはその本体でピチカは亜空軍の中でも何よりシェリーが苦手だったのだ。
「やだやだやだきもいよぉぉぉ!」
たまたま食堂を出て鉢合わせたのだがピチューとだけあって電気の扱いが不慣れであるばかりに反射的に攻撃をしてしまった。そのお陰でご覧の有り様である。逃げ惑う彼女を追いかけるシェリーとそれを追う保護者役の三人という構図。
「あーもうやるしかねーな!」
「そうですね」
ダークフォックスとダークファルコはそれぞれのホルスターから銃を取り出す。
「退きなさいっ!」
ピチカはハッと顔を上げて直ぐさまその場に頭を抱えながらしゃがみ込んだ。直後頭上を駆け抜けた黒い雷撃がシェリーの体を貫通。悲痛な鳴き声をあげて横たわる巨体をピチカは息を切らしながら振り返って。ひと息ついて正面に向き直り差す影に釣られて顔を上げる。
「……ピチカ・リー」
不機嫌な声音で見下したのは。