なんてったってシスター!
……というわけで。
ピチカがスピカの療養期間中ダークシャドウの仮のリーダーを務めることになりました。
「ほ、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だってば!」
屋敷の外までお見送り。パートナーであるリムは事情を聞いた瞬間すっ飛んできたがピチカはお馴染み膨れっ面。そんな彼女は今日ばかりは流石にいつものスカートではなくショートパンツスタイルで全体的に配色は黒のいわゆるゴシックパンク調にコーディネートを固めている。
「プリンの本物サン心配性じゃねぇ?」
「基本的には俺たちが同行する」
「誰が言っても信用ならないから言うのよ」
一応、敵である。
「いこいこ!」
ピチカが言うとダークファルコは右手を左胸に置いてにこやかに「分かりました」と敬礼、振り向きざまに虚空を銃弾で撃てば亀裂が入り硝子が割れるかのように崩れてその先に暗い赤紫色の世界を覗かせる。向けられる心配の視線を他所にピチカは一歩踏み出すと振り返って。
「いってきまーす!」
まるでお使いにでも出掛けるかのようなそんなあどけない表情で手を振られたのでは。何とも複雑そうな表情でリムが手を振り返す中残された三人も次々に開かれた空間の先へ足を踏み入れていき──程なくして空間は口を閉じる。見送りに訪れていた面々はさて遊びだ食事だ大乱闘だと散り散りになったが、ただ一人リムだけは頬に手を当てながら小さく息を吐き出して。
「本当に大丈夫かしら……」
──亜空間。
「わっ」
先頭を歩いていたピチカは目を丸くした。
「あれがダークシャドウの基地?」
「そうです」
思えば仮に用があっても赴くのはマスターとクレイジーのいる基地だけだったので此方を見るのは初めてだった。本当に元の屋敷を黒く塗り潰しただけの見た目だとは。
「ちゃんと掃除してる?」
「大丈夫っスよぉ亜空軍がやってくれるんで」
「えっそうなの?」
「プリムとかポッパラムとか」
「いいなーうちもお掃除屋さん雇えばいいのに」